座談会

■シルバー産業新聞 4/10掲載記事より

介護データを集積しエビデンスの確立に

小野沢氏

小野沢将来的には電子カルテにケア情報というボタンをつけ、それをカナミックのサーバーにつなぎ介護情報が見られるようにする。医師の不満のひとつに意見書を書いたにもかかわらず、介護度すら分からないという声がかなりあるのですよ。

山本医師は患者さんの介護情報は来院しなければ分かりませんし、診察後の介護情報もフォローは難しい。電子カルテにそうしたシステムを付与すれば、亀田病院として一人の患者さんを医療と介護両面でより強力に総合的にバックアップすることは可能です。

小野沢ただ、医療や介護を行う上で共有しなければ困る情報もあるとは思いますが、あくまで、情報の所有者は利用者です。利用者が知られたくない情報には印をつけて見られないよう工夫することも必要です。利用者が許可した人にしか見えないような工夫も必要でしょう。

山本当社のシステムは担当者以外閲覧できないような工夫もしています。

小野沢電子化された情報は紙媒体よりはるかに価値が高く、1万倍くらいの価値を有することもあるでしょう。何かの傾向を調べようと思った場合、紙媒体だと膨大な作業になりますが、電子化されていると統計処理だけですみます。

山本紙媒体を電子化するときに大切なのは、それがデータとして活用できるようにすることです。紙媒体で要介護度の変化が分かるのは1人の変化だけ。それが千人、1万人となってきたら紙媒体では追跡のしようがありません。75歳の要介護1の人が5年後の80歳では要介護度がどう変化するのか。ある疾患を抱えている場合、それが介護度にどのような影響を与えるのか。そうした傾向をみるためには、データをしっかり分析できる形で保存することが非常に重要です。医療の分野ではさまざまなデータ解析が進んでいますが、介護の分野では要介護度が開発されてからの歴史も浅く、きちんとした分析はまだできていません。分析が進めば、現状では悪化する人でも維持できるケースが数多くあるでしょう。

小野沢医師が研究のためデータを集めるには莫大なコストがかかっています。ところがASPではデータ集積にはコストがあまりかからない。介護職が普通に日常業務を行い、それを入力するだけでデータベースができ上がるからです。ASPで5年、10年データを蓄積し、分析したら世界の介護ベースとなりますよ。

山本レセプトや帳票をつくるために紙媒体の情報を入力し、データ化するまではIT技術。それをチーム全体で共有し活用することはICT(インフォメーション・コミュニティ・テクノロジー)と呼ばれ、時代はその方向に進んでおり、互いに双方向で情報のやりとりができる。システムがそのレベルに達しないと現場も改善されませんし、現場が改善されなければシステムも向上しません。双方で高め合うことが、社会保障制度の充実につながるはずです。

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