座談会

医療と介護の連携 後編 「地域包括支援センター」と「介護予防」の本質

5.どこへ進む? 「地域包括支援センター」と「介護予防」

岡島氏

岡島地域包括支援センターに、その役割が期待されるのではないでしょうか。

苛原でも、地域包括支援センターの役割については、「これから」だと思います。ただし、地域の中での決定事項が増えることになるでしょう。そのため、意識の高い人も増えることで、障害者に対する福祉を含め、本当に包括的なことができるようになっていかなければなりません。

その中心的役割を担うのは、保健師でしょうか。

岡島ケアマネジャーをサポートする、主任ケアマネのような人に、本当に出てきてほしいですよね。

でも、それがどこから、どのような教育によって現れるのか。スーパーバイザーを立てるのは方法論としてはありですが、そうしたスーパーバイザーが地域の中に現れる仕組みというのは、難しいかもしれません。保健師がクローズアップされる一方で、このあたりはどうなっていくのでしょうか。

阿部 地域包括支援センターについては、国の構想どおりにはいかないでしょうね。例えば伊勢原で、社会福祉士、保健師及び経験のある看護師、主任ケアマネジャー、この3人の職種をそろえるのは、とても大変なのです。

岡島そしてその3職種がチームを組んで、地域のネットワークづくりを目指す・・・

阿部 神奈川県では、要支援事業は居宅介護事業者に委託を出すというところで、国のカリキュラムやマニュアルをみても、社会福祉士や主任ケアマネの業務内容は確立していません。それらを形づくるには時間がかかり、崩壊の心配も…。

岡島確かに、最初からうまくは望めなくても、でも、そこをがんばって、安全で安心して暮らせる地域、街づくりのしくみを作ることが大切なのでは。

苛原在宅支援センターと居宅事業者の関係もありますが、包括も松戸市で要支援1・2の方3,000人に対して立てることはできないので、一括、委託ですよね。ただし、今後は…

阿部今、現在、国では要支援1・2を手がけるのは地域包括支援センターとしていますが、多くは居宅介護支援事業者に委託するとすると思われます。

岡島 でも、包括支援センターが要支援1・2の分の予防介護ケアプランを全て作っていったら、またケアプランセンターのようになってしまう…

苛原そのようなことはないでしょうけれど。

阿部当初は「保健師及び看護師がつくる」となっていたのが、「3人で連携せよ」と修正された。

岡島 そして、外に…。

土橋氏/苛原氏

土橋つまりは、なぜそうなったのかという背景を知るべきです。

例えば医療の範囲だけでは対応不可能な部分も出てきており、行政としてはそこにケアマネジメントを機能させたいということでしょう。

阿部すると、市町村ごとの格差が良くも悪くも出てくるのではないでしょうか。

土橋ただし、これがうまく機能すれば、ケアマネジャーの独立・自立に結びつく可能性はあります。

そこに予防の話が入ると、ますます難しくなる。サービスとニーズがマッチするのかどうか…。「転ばないように予防しましょう」「いえ、私は元気ですが」と、なりかねません。それをマネジメントするのはつらいことであるにもかかわらず、しかも成果をあげろ、達成率を出せ、と言われているのです。医療でもできていないのに、介護で予防が可能かと心配です。

また、どのような位置づけになるのか、責任はどこにあるのか、プランニングはどのように行っていくのか、そのような少人数で対応可能なのか…

苛原介護予防というのは制度設計上のミスであるとしても過言ではありませんからね。口腔ケアが、要支援1の人に必要なのかと。

地域包括支援センターの役割は大きな連携、地域ネットワークをつくること

岡島 地域包括支援センターの重要な役割としては、とにかく、いろいろな機関の連携の輪の核となり、地域ネットワークをつくり、利用者・家族・住民を囲んで行政・医療機関・多職種の専門職・民生委員・町内会・老人会・交番・郵便局・消防署等々、街の各方面の人々が集まってくる。私は、その面では期待できると考えています。

阿部予防というよりは、いかに、がんばろうという意欲を引き出し、支えるか。それにつきると思います。要介護5・4・3・2・1についても、すべきことが非常に多い。でもそれだけでなく、他方、要支援は本人がやればできることが多くあるので、100%それを引き出すように心がける。3カ月で結果を出せということや、1回でこうした目線の切り替えをしろというのは無理ですが、見立て方としては悪くないでしょう。

土橋ヘルパーをつければいいというものではなく、ケアマネジメントの基本的な考え方を、要介護の方と要支援の方と、それぞれに合わせて切り替えなければいけません。

岡島また、「予防」という意識が広がるだけでも、変わってくるのではないでしょうか。

苛原ケアマネジメントとしては、予防もやってきました。今までしていなかったわけではないのです。

土橋ただし、あまり成果があがっていませんでした。

阿部イメージとしては、「さらに予防の面を強化する」ということですよね。

土橋要介護1の人にも5の人にも、「ヘルパーによってサービスを提供する」ということで、同じように考えられていました。そこに、メリハリをつけていく必要があるのです。

阿部おっしゃるとおりですね。

さて、今回は国からの改定の具体的な資料が出そろっていませんでした。そこで、今後2、3回目と、さらなる情報交換が継続できればと思っております。そろそろお時間がまいったようです。この度は、どうもありがとうございました。

一同ありがとうございました。

座談会を終えて

この座談会は、厳しい冬の訪れを予感させる、風の強い日に行われました。それはあたかも現在のわれわれの置かれている状況を暗示するような寒さだったのです。

しかし、会は盛り上がり、ここに記載できなかった「熱い」話題が多く出されました。今は灰色の季節でも、必ずや芽吹く季節はやってくるのだ、という確信に近い希望をお互いに感じることができた、実に有意義な時間でありました。ありがとうございました。 

(文:菅 武雄)

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