3.介護保険は"社会保険"である…今後は量から質へ
菅まず、介護について、語るに足る地点にまで到達することを目指す。そのうえで、振り子が戻る原理で常に見直して改善しながら、介護を学問にしていくという努力が必要ではないでしょうか。「病院機能」しかり「生活」についてもしかり、ですよね。ところで、厚生労働省はケアマネジメント学会に期待していると発言しているようですが、その「学問への努力」は具体的に始まっているのでしょうか。
岡島第一に、「これは社会保険である」という説明を、最初にしておくべきだということですね。
一同(うなずく)
岡島そのため、みんなで分かち合い、適正に使うべきである、と。実は、「どうぞ、お使いください」という姿勢で押してきた流れに対し、今になって困っているのです。
利用者さん側からのすべての要望に応えることが制度上、プランに組み込めないこともある。そんな時に、ケアマネがどう伝え、理解してもらうかといった問題も出てきます。
とにかく、行政が広く、介護保険の利用法や社会保険のあり方を啓蒙すべきでしょうね。
菅また、自分の事業所のサービスを勧めてしまうという問題もあるのではないでしょうか。
岡島私どもの会社では、ケアマネジャーの部門を昨年4月に居宅介護支援事業部として組織化しました。これにより、専門職の責任者が統括する専門職の事業部ができました。27事業所に90人弱のケアマネジャーが所属しております。以前は訪問介護の責任者が居宅介護支援事業所の責任者を兼任していましたが、今は、現場のケアマネジャーが責任者となり、専門職がみんなで力を合わせて、事業所管理をしています。
自社の関連部門には、専門職としての質のアドバイスをしていく。どの部門も各々自己研鑽し、信頼され、どこからも選ばれる事業者になる。今後は、このようなところを目指さないと、世の中で認められなくなっていくでしょう。
苛原私のところの居宅サービスでは、3カ所の職員計5~6人で250件を扱うという、まさに「ギリギリ」の状況ですが、ケアマネに自分のところのサービスを使えとは言いません。それは事業所による違いがあるかもしれませんが…。一方で、松戸市はケアプランの作成を依頼しようとしても、ケアマネ不足で、どこも受けてくれないという現状です。
大切なのは、ご利用者さんの自己選択の支援をする、ということ
阿部 2006年の4月には、特定の事業者に偏ったプラン設定を行っていれば、減算をしようという話も出てきています。それを間違えて解釈し、例えば、「各レンタル業者に対して、30%、30%、25%…なので今度はこちらの業者に」等と割り振ったりするような、マネジメントを行うことにもなりかねないそうです。大切なのは、ご利用者さんの自己選択の支援をする、ということであるはずです。
また、ケアマネジメント支援の中において自分の所属する事業所のサービスを利用するという空気も問題です。そこで、利益誘導とされないために、ケアマネジメント事業を切り離した大手もありましたが…。
さらに、さまざまな業種が「介護業界の成長が見込める」「グループホームを建てろ」と参入しているわけで、それによる弊害も現れているのです。
岡島誰でも立ち上げられるのではなく、管理者にある程度の資格・水準が必要ですよね。
菅「今、介護業界が商売として良さそうなので、事業所を立ち上げよう」と、この分野のことなど知る由もない所長がケアマネを5~6人雇って参入する。
岡島そして、優秀なケアマネジャーであればなおのこと、自分の専門性を認識してもらえないというストレスをためて、転職を繰り返していく。こうして最近は、やはり、「管理者の理解」が問題になっているのです。
阿部あと、「管理者のモラル」と、ね。
土橋ただし、この5年の間は「量」を追求してきましたが、2006年の見直し以降は、「質」の面での充実も期待できると私は考えています。
阿部しかし、2006年4月以降に備えて、今、「駆け込みグループホーム」が、雨後のたけのこのように、次々と建てられています。
苛原 そうはいえ、現在、7,000のグループホームがあってもなお、足りていません。また、社会福祉法人が良いことをしてきたのかと問われれば、そうとも言えない。そうした反省もあり、私は他の分野からの民間の参入自体は悪いことだとは思いません。グループホームには第三者評価が確立している等、システムとしても成り立っていますし。
岡島研修等により、企業・管理者教育をしっかりとすれば。
阿部そうですね。ただし、「猫も杓子も」参入できるのは問題ですよね。医療はそれを拒んできたわけですから。やはり、ハードルを高く設定し、現場の声を反映させていかなければ、専門職が専門職たりえない。そして、特にケアマネジャーは、上から言われ、下からつきあげられ、元職、例えば「看護師に戻りたい」ということになるのです。
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