3.医師とのやりとりにおけるケアマネのジレンマ
菅つまり、いわゆる「患者学」「自分のための医療」ですよね。これをうまく利用できていないような気がします。地域のかかりつけ医との連携が患者の側ではうまくできない。そこで、ケアマネが大病院まで患者さんについて来て、意見や話をしてくれる、本音で意見を交し合うというケースも出てきまして…。阿部先生は、ケアマネジャーの立場から、大病院や地域のかかりつけ医をどのように捉えていらっしゃるのか、ご利用者さんにとっての上手な受診の仕方や「患者学」というのはあるのでしょうか。
ケアマネは、大病院に突撃できるようなスーパーマンではありません
阿部まず、訪問看護などに携わっている方はもともと医療に関する心得やなじみがありますが、そうでないケアマネにとっては医療業界というのは敷居が高く感じられるものです。
そこで、伊勢原でも、ケアマネジャーの連絡会に、医師会の先生方を巻き込んでいます。病院や医師に対してダイレクトに連絡をとるには相当のバイタリティーや行動力がなければ突っ込んでいけないもので、そこまでケアマネジャーに求めても、ケアマネはスーパーマンではありません。
そのため、特に大きな病院とは、医療相談室をはさんで連携し、アプローチしてもらう。手紙をくれる/くれない、開業医でも在宅の訪問診療をしてくれる/してくれないなど、同じ医師会でも先生によって違いがあるので、医師とケアマネとの連絡表を作成し、連携のためのやりとりもシステムとして機能させていくことが重要ではないでしょうか。
伊勢原は、こうした考え方に対して理解の深いかかりつけ医が多いので、とてもやりやすいですね。
岡島最初の段階では特に、福祉系のケアマネは戸惑いますよね。医療系のケアマネジャーは苦にしないのですが。先生に連絡をとることさえ申し訳なく感じることもありますし、ケアマネの力量の差もあります。 平成16年でしょうか、東京都のケアマネジメントの推進事業、モデル事業のひとつとして「ケアマネタイム」が実施され、医師の方々に対応可能な時間帯を示していただきました。この「ケアマネタイム」もずいぶん都内の各地域に広がりつつあります。ただし、登録制なので、先生によっての差は出てきますが、連携をとれる形のフォーマットも確立されて、だいぶ連絡はとりやすくなってきました。
また、地域の先生との連携が確立されてくると、先生のほうからも「最近、この人はどう? 大丈夫?」というようなアドバイスもいただけるようになりました。これは「地域連携」の利点ですよね。
菅でも、診療時間帯の電話の連続というのは…土橋先生、これは、対応が難しいですよね。
土橋まあ、タイミングの問題がけっこうあるかと思いますね。私も日本医師会の研修会で、どのように連絡をとるかということを提案させてもらったこともありますが、通常、日に100人近い患者さんを診ているのです。
私はできるだけ電話を受けるようにしていますが、その際はもちろん、カルテが出ていない状態ですよね。すべての患者さんの病名や病状の詳細が頭に入っているわけではないので、適正な指示はできかねます。そこで、後で、カルテを見て折り返し電話をかけ直すのです。ただし、診療中の問い合わせに緊急以外でお答えするのは難しい。そこで、とりあえずメールやファックスを入れておいてもらい、カルテをとりよせて対処法を考え、後で、電話で答えるようにしています。こうした方法論による解決法があるのではないかと思います。
ただし、電話で第三者に患者さんの症状を伝えてはならないというのは、原則であり、医療の常識でもあるのです。そのため、電話で病状を含め、個人情報を教えることは通常ありません。ご家族やケアマネの名をかたって誰が電話してくるかわかりませんからね。
市川では、ケアマネとの情報交換ができる連絡方法について工夫したりしていますが、これについてもケアマネジャーと医師の間で、さらに徹底して考えるべきでしょう。
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