「生活の快」を取り戻す、デイサービスのあり方 前編

デイサービス高ヶ坂
小室さんは、町田市で人気の高い「デイサービス高ヶ坂」を経営する傍ら、デイサービスのコンサルタントとして、次々と新しい施設を立ち上げておられます。
自らを「介護バカ」と称されるほど、スタッフと共に日夜質の高い介護への努力を惜しまず、利用者さまの御家庭にも一番に足を運ばれます。その熱きキャプテン振りと、やさしい笑顔は、人々を惹きつけます。
小室貴之さん プロフィール
特定非営利活動法人 「楓の風」理事長
二カ所のデイサービス(「デイサービス高ヶ坂」 「デイサービス藤の台」)と、ヘルパーステーション 「ケアサポートかえでの風」を運営。
今後のデイサービスのあり方 問題点、課題について
生き残りを賭ける変革の時代の到来
ご存知の通り、通所リハビリがなくなるという話の中で、 これからのデイサービスは、一般のデイサービス、地方型のデイサービス、リハビリテーション中心のデイサービスの3つになっていくであろうと 言われています。
その評価については、実際にリハビリテーションを やっているか、いかに個別の処遇を行なっていくか、またそれによって加算が取れるかどうかが、いわゆる勝ち組み負け組みを決めていくのではないでしょうか?
求められているサービスの提供
以前から言われていることですが、通所リハビリテーションはお医者さんはいるけれども、実際に何をやっているかというと、お遊戯や体操をやってリハビリと称してしまうところがあまりにも多いのではないでしょうか。全国的にそうだと思うのですが、生活の中で自立していけるような具体的なリハビリテーションをやっているかどうかが重要だと思うのです。
殆どどこへ行っても、画一的従来型デイサービス(と僕らは呼んでいます)は、幼稚園のように「夕焼け小焼け」を歌って、輪を作って体操をして、ゲームをやって、食事をさせて、お昼寝をさせてといった形を取っています。そういう施設では男性の利用者は圧倒的に少ない訳です。なぜなら、そんなこはとやりたくないからです。
サービス業なら当たり前のことですが、利用者さんが求めていることを提供しないで、お金を支払って頂ける訳がないと思います。
家庭環境に合った仕掛け
6万~7万の年金で、1回デイに通えば、1200円、1500円、高いところだと1800円位支払います。それで週3回通えば、1ヶ月に2万円前後になります。ということは月収の1/3近くをサービスに使う訳です。たとえば手取りが60万円の人がいたとして、20万円をカルチャーにかけることになります。それ位の価値観の意味を考えなければならないのです。
僕らはソフトウェアをプロデュースする時、保険制度のことを頭に入れ、顧客ニーズに合せて、利用者さんにいかに元気になっていただくかということを考えていかなければなりません。そこがこれからの、大きな課題なのです。当たり前のことなのですが、それが出来ている施設が少ないのです。私共のセンターでは理学療法士を常勤で3人程置いて、具体的に家庭環境に合った仕掛けを作ります。センターで出来ていたことが、家に戻った時出来なければ何にもならないからです。それぞれの家庭にあった仕掛けの中で「出来た」という感動体験を作ってさしあげるのです。それが自信につながり生活の中での自立が出来ていく。そういうプロセスのお手伝いをさせていただいているのです。
課せられている仕事量 IT化の必要性
ケアマネジャーさんの仕事は、月50ケース以内に収めるようにはなってきましたが、それでも1日2件以上、シフト的なものを考えれば 1日に3件以上利用者訪問をしなければならないことになります。 本来、サービス事業者さんとケアマネジャーさんの担当者会議というのは定期的に開いていなければならないのですが、実際には不可能ではないでしょうか。
最近それを補うべく、郵送で書類が回ってきて、僕らはそれに手書きで書いて送り返すようになってきたのですが、何時から何時できっちりと終われる仕事ではないので、どうしても残業残業になってしまいます。結局残業が多くなりすぎて、手書きではやれない訳です。やれないからやらないでは、いつまでたっても質の向上にはつながりません。時間がないからと、そういう部分を怠っていると質の良いサービスはできないのです。いかに効率よく担当者会議やっていくかという意味でもIT化と良いソフトは必要になってきます。
管理側のソフトは重要で、その人その人にあった介護計画を立てる義務が僕らにはありますが、従来型のソフトでは、僕達のやり方にマッチしたものがあまりなかったのです。カナミックさんは、みんながアクセスできるネットでケアカンファレンスが行えるようにソフトを作っておられますが、そういうものが必要だと思います。
デイサービスセンターの経営について
高ヶ坂の介護事業経営状態
NPOは、お金を稼いではいけないようなイメージありますが、税金もかかりますし、 会社組織ですから、経済活動をしてしかるべきです。 役員配当や株主配当が無いだけで、利益は給料や今後の事業展開資金の方にまわしています。経営は順調です。
経営者の悩み
現在、デイサービスのコンサルタントとしてクライアントを4軒持っていますが、介護事業の経営者が悩んでいることは皆同じです。「どうして職員が動かないのだろう?どうしてお金になるサービスが出来ないのだろう?」そんな時は正直に「経営者であるあなたが動かなければ、何も変わりません」と言います。僕も同じ経営者ですが、仕事そのものがライフワークになっていますので、相談員として、施設に来て頂いている200名のゲストの皆さんのご自宅に一番最初に伺います。そうすればニーズがその場で解ります。
皆さんが、どうすれば元気になれるか。どうすれば生きている実感がするのか、どうすれば心地よい生活を送れるのか。「生活の快」を取り戻すには、一体どうすればいいのかを経営者自らが探り当てることが重要です。
週に1回でも、月に1回でも、利用者さんの顔を見て話をし、声を聴くということをやらない限りは、自分の施設が良いのか悪いのかも解りません。たまにデイサービスの現場を覗くと、それなりに楽しそうに見えるでしょう。 でも、利用者さんの本当の気持ちとか、施設に来なくなった理由等は解りません。
経営者の意識改革が成功の鍵
デイサービスは究極のリハビリテーション施設だと思っています。家庭で自立していくためには、絶対に必要なサービスです。社会性を取り戻すことと、機能を取り戻すことの両方を兼ね備えた施設です。そこに経営者が目を向けなければ順調な経営は望めません。皆さん、増収増益を考える前に守りに入っておられるのではないのでしょうか。施設が古いから、お風呂がないから、ケアマネの紹介が少ないから、などを理由に、どうしたら人件費をかけないですむのかというようなマイナスのことしか考えておられません。どのようにして集客するかを考えていく経営者の意識改革があれば、必ず介護経営は成功すると思います。
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