4.介護ソフトの利便性により業務の効率化をはかる
「現場の声を聞いていると、地域包括支援センターの存続に危機感すら抱いています」
こう話すのは、ソフトメーカー「カナミックネットワーク」会長の山本奨さんだ。
同社では、ASP(Application Service Providerの略、メーカーのサーバーにアプリケーションがインストールされ、インターネットを通じてユーザーに提供する)を使った『地域包括支援センターシステム』を開発、販売した。
地域連携に力点が置かれた同社のシステムは、地域包括支援センターの担当職員や再委託先のケアマネジャー、プランに組み込まれたサービス提供事業者に無料でIDとパスワードが発行されるため、ネット上で利用者の情報を共有できることが大きな特徴だ。
また、作業を効率化する機能も備え、国保連(国民健康保険団体連合会)への請求についても、各事業者からのデータについてネットを通じて行うことができる。
「多大な業務量を抱えているぶん、システムで効率化をはかるべきでは」と山本さんは提案する。
「創和会地域包括支援センター」では昨年6月から介護予防ケアプラン作成に使用する介護ソフトについて、カナミックネットワークの「地域包括支援センターシステム」を導入した。
「要介護から要支援に移行にするにあたり、新たに介護予防プランを依頼してくるケースのなかには、町田市外の埼玉県の事業所などでケアプランの作成を依頼していた利用者もいます。しかし、遠方の事業所まで足を運ぶことは困難です。こうした場合、カナミックネットワークの『地域包括支援センターシステム』が非常に役立ちます。また、委託先の居宅介護支援事業所と情報を共有するという面においても若干のレクチャーは必要とするものスムーズに連携がはかれます。私ども地域包括支援センターの3職種同士も共通の画面で情報入力ができるという利点もあります」(川尻さん)
一方、庄司さんは、個人情報が唱えられているなかで「いつまでも紙媒体で情報を交換することへの不安もある」と話す。
さらに川尻さんは今後のシステムのありかたについて、「今後は利用者情報の共有や各種統計事務の効率性という意味においても一行政一システムを採用してほしいと思います。カナミックネットワークのシステムが、すべての地域包括支援センターや指定介護予防支援事業者で採用されるのが理想的ですね。またこれからの介護ソフトには端末の操作が簡単であること、利用者が見やすいよう工夫も求められるでしょう」と述べる。
現在、町田市では15カ所の地域包括支援センターのうち5ヶ所がカナミックネットワークのシステムを導入している。
町田市の健康福祉部高齢者福祉課にたずねたところ、「一行政一システムは便利だと思うが、地域包括支援センターの職員がこれまで利用し、慣れているシステムがそれぞれ異なるため、現在ではFDやMOでやりとりをしています」との回答があった。
ちなみに、神奈川県伊勢原市などは、すべての地域包括支援センターと同市の介護高齢福祉課がカナミックネットワークのシステムを利用し、情報の共有化を図っているという。
地域包括支援センターの業務負担軽減においては様々な課題が挙げられるが、プランの作成業務に費やす時間と労力の負担軽減という意味においては、介護ソフトの機能と利便さが一助となる可能性もあるといえよう。
地域包括支援センターはさまざまな問題と課題が指摘されているのが実情だが、現場で働く職員の、「それでもなお」真摯に利用者と向き合おうとする意欲は失ってほしくない。現場で奮闘する職員にエールをおくりたい。
(ジャーナリスト 小山朝子)
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